治験とは
治験と臨床試験
- 臨床試験とは、人を対象とした様々な試験の総称です
- 治験とは、臨床試験の中で新薬開発を目的とした試験のこと「治療試験」を略して「治験」といいます
治験の目的
治験の目的
ある疾患(病気)に対して「くすり」としての
- 安全性を確認する
- 有効性を証明する
- 日本人に見合う適切な用量を設定する
具体的には
- 患者さんに一定期間薬を服用していただき、有害な副作用などが発現しないかどうか確認する
- プラセボとの比較により、新薬として効果があるかどうかを検証する
- 既に市販されている同種同効薬と比較し、新薬の効果を検証する
- 投与量の違いによって効果に違いがあるかを検証する
その結果
治験を実施したことにより入手した情報すべてを「症例報告書」にまとめ、製薬会社がデータを解析し、有効と判断されれば厚生労働省に新薬の承認申請を行う
※正確なデータを形にするため、医療機関で様々な支援を行うことがCRC(治験コーディネーター)という仕事です
SMOの役割
(Site Management Organization):治験実施施設支援機関
- 治験実施体制の整備
- 治験事務局支援
- 治験審査委員会(IRB)の運営
- 治験責任(分担)医師業務支援
GCP(厚生労働省令)やその他関連法規に基づき治験が実施できるようさまざまな体制整備を行う
院長が行うべき各種書類の作成、管理、保管
治験審査委員会運営支援
会議の開催、議事録作成、必須文書作成・管理
CRCが行う業務
医療機関のサポート
医師のサポート
SMOとは、新薬開発のための治験が医療機関で円滑かつ正確に実施されるよう、治験のお手伝いをする組織です
SMO・CRCの必要性
新GCPの制定
平成9年の新GCP制定により治験の実施に関して厳格化された
- 都度作成される書類や保管書類など、院長が行うべき業務が多岐にわたり専門的な管理者が必要となった
- 治験実施方法が厳格化され、医師の負担が増加した
- 被験者(治験の参加する患者)へのインフォームドコンセントが必須
- 有意な結果を出すため、治験の内容も高度になり複雑になった
GCP制定を受けて
- 実施医療機関の負担が増大し、医療機関スタッフのみで治験業務をすべて実施することが極めて困難となった
その結果
治験を専門職とするSMO・CRCが出現し、医療機関・医師の立場で治験を支援することとなった
- 医療機関における治験全般を支援・・・SMO
- 医師を直接的に支援・・・CRC(治験コーディネーター)
CRCの役割
- 治験責任医師の補佐として、被験者への同意説明、スケジュール管理、各種資料・データの収集や管理を行う
- 治験を実施するうえで、「治験依頼者」、「医療機関」、「被験者」の間に立って、治験が円滑に進むよう調整する
CRCという仕事
患者さんに対して
- 同意説明(補助)
- 験実施計画書に従ってスケジュールどおり来院するよう計画・案内来院ごとに定められた検査・診察を確実に実施
- 治験薬の服薬管理、日誌の記載
- やってはいけないこと(別の薬を勝手に服用するなど)を理解させる
- 治験参加期間中のフォロー(電話、来院時の対応など)
先生、医療機関スタッフに対して
- 医師が行うことの確認・支援(診察、評価ツール、検査、投薬)
- 実施した検査内容・判定等のカルテ記載(補助)
- 症例報告書の作成(補助)
製薬会社担当者に対して
- モニタリング業務(担当者が行うべき業務)が実施できるよう準備(場所・カルテ・時間の確保)
- 担当者から先生へのアポイント依頼
- 依頼者の意向を踏まえた治験実施
CRCが理解すべきこと
- 基礎知識(GCP、SOP、治験実施計画書、治験薬概要書など)
- 薬に関する基礎知識
- 臨床検査に関する基礎知識
- 患者、医師、製薬会社担当者への対応方法
- 医療の仕組み、医療機関組織の理解
- 担当治験の理解(疾患、治験薬、評価ツール)
- 医療機関におけるCRC業務全般の把握
CRCの資質
- CRCになるために必要な資格は特にないが、薬剤師、臨床検査技師、看護師など医療に携わる有資格者が多い
- 対外的な仕事であるためコミュニケーション力、調整力は必須
- 新しい仕事に興味がもてる人
- 新しい知識を得ようとする意欲がある人